「ドアの開け閉め」を心のゆとりに:日常でできるマインドフルネス
日々の生活は、次から次へとやるべきことに追われ、あっという間に時間が過ぎていくように感じられるかもしれません。家事、仕事、育児など、どれも気を抜けないことばかりで、自分自身の心に目を向けるゆとりを持つことは難しいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ストレスや小さなイライラが募りやすいこのような状況では、心と体を「今ここ」に引き戻すマインドフルネスが役立ちます。しかし、「特別な時間を確保するのは難しい」「どうすれば良いのか分からない」と感じているかもしれません。
ご安心ください。マインドフルネスは、座って瞑想するだけでなく、日常のあらゆる瞬間に取り入れることができます。今回は、一日に何度も行っているはずなのに、ほとんど意識していない「ドアの開け閉め」という短い行動に焦点を当てたマインドフルネスの実践法をご紹介します。
なぜ「ドアの開け閉め」なのか
ドアを開けたり閉めたりする時間は、ほんの数秒です。立ち止まってじっくり何かを行う時間がないと感じている方でも、この一瞬であれば意識を向けることができるかもしれません。
また、ドアの開閉は、場所や行動の切り替えの節目に起こります。「外から中へ」「部屋から部屋へ」「仕事モードから休憩モードへ」など、意識を切り替える良い機会となります。この短い節目を意図的に活用することで、無意識に行っている行動に気づき、心に穏やかさをもたらす練習ができます。
「ドアの開け閉め」マインドフルネスの実践
特別な準備は何もいりません。次回のドアを開け閉めする際に、以下のステップを意識してみてください。
-
ドアノブに手をかける瞬間:
- ドアノブの冷たさ、温かさ、硬さなど、手のひらや指先に触れる感覚に注意を向けます。
- ドアノブを握る際に、指や腕の筋肉がどのように動くかを感じてみます。
-
ドアを開ける(または閉める)動作:
- ドアの重さを感じてみます。軽いドアなのか、少し重みがあるのか。
- ドアが動く音に耳を澄まします。ギシギシという音、スッと滑る音、カチャリというロックの音など、聞こえてくる音に意識を向けます。
- ドアが開いていく(または閉まっていく)様子を視覚で捉えます。景色や空間がどのように変化していくかをただ観察します。
- ドアを通過する際に、自分の体がどのように動くか、足が床に触れる感覚などに気づきます。
-
動作を終えた後:
- ドアが完全に開閉し、ロックされた(または解放された)瞬間の感覚を味わいます。
- これから行う次の行動や、今終えたばかりの前の行動ではなく、「ドアを開け閉めした」という一連の動作そのものに意識を留めます。
これを、一日のうちに何度か、気づいた時に行ってみます。玄関、部屋のドア、会社のオフィス、お店など、どこでも実践可能です。
実践する上でのポイント
- 完璧を目指さない: 最初は忘れてしまうのが普通です。気づいた時に「あ、今、ドアを開けた(閉めた)な」と思い出すだけでも素晴らしい一歩です。自分を責める必要は全くありません。
- 五感をフル活用: 手の感触、音、見える景色、体の動きなど、様々な感覚に意識を向けると、より「今ここ」に集中しやすくなります。
- 「意図」にも気づく: ドアを開けるのは「部屋に入るため」、閉めるのは「プライバシーを守るため」など、その行動の背景にある自分の小さな意図に気づくことも、自己理解を深める上で役立ちます。
期待できる効果
ドアの開け閉めのような短い瞬間でもマインドフルに過ごす練習は、以下のような効果をもたらす可能性があります。
- 「自動操縦」状態からの脱却: 何も考えずに行っていた行動に意識を向けることで、無意識に流される状態から抜け出すきっかけになります。
- 心の落ち着きを取り戻す: 短い時間でも一つのことに集中することで、散漫になりがちな心を落ち着かせることができます。
- 次の行動へのスムーズな移行: 行動の節目で意識をリセットすることで、次のタスクに集中しやすくなるかもしれません。
- 日常への感謝の気持ち: 当たり前だと思っていたドアやその機能に改めて気づくことで、身の回りのものへの感謝の気持ちが生まれることもあります。
忙しい毎日でもできる小さな実践
ドアの開け閉めは、私たちの日常生活に自然に組み込まれている行動です。この短い瞬間を意識的に活用することで、たとえ数秒でも心にゆとりをもたらすことができます。
もし忘れてしまっても、落ち込む必要はありません。また次のドアを開け閉めする時に思い出せば良いのです。完璧を目指さず、まずは「やってみようかな」という気持ちで試してみてください。
この小さな実践が、あなたの日常に穏やかな気づきの時間をもたらす一助となれば幸いです。